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ヘンデルのリコーダーソナタとの出会い・その2

 ヘンデルのリコーダーソナタト短調を吹いて入学した桐朋学園大学古楽器科の、当時の主任教授はヘンデルの研究者として世界的に知られる、故・渡部恵一郎先生でした。私の在学中にも古楽器科の先生方とヘンデルの木管楽器ソナタ集の録音をしたりレクチャーコンサートをしたり、活発に活動なさっていましたが、身近にありすぎて私はボーっと過ごしてしまいました。

 

 研究科を終えて私が結婚するときに、フラウト・トラヴェルソの有田正広先生がヘンデルのリコーダーソナタほか、の自筆譜、偽ロジェ版とウォルシュ版の出版譜のファクシミリがセットになった楽譜をお祝いに下さいました。イタリアのStudio Per Edizioni Scelte(S.P.E.S.)社の、装丁の美しい、当時とても高価な楽譜です。結婚のお祝いに楽譜、とは、結婚しても勉強を続けなさい、という有田先生からのメッセージをいただいたかな、と思います。宝物の楽譜です。

 

 その後ヘンデルのリコーダーソナタはコンサートで演奏したり、教室の発表会でも必ず1曲は入る定番中の定番です。そのレッスンにもいただいた自筆譜を使っています。30年以上もレッスンをしていると、もはや懐メロです。でも、飽きないのです。これが名曲の底力。

 

 後になって、作家の村上春樹さんがヘンデルのリコーダーソナタが好きで、50年近く聞き続けていると知りました。今回チケットの件でやり取りさせていただく中にも、「これがやりたくてリコーダーを始めました」「高校時代に友人と一生懸命練習しました」「今度、発表会で演奏します(しました)」などのコメントがありました。皆さん、それぞれにヘンデルのリコーダーソナタへの思いをお持ちなんだなぁ、と改めて思いました。

 

 22日のコンサートが皆さんの良い思い出の一コマになれたらうれしいです。

当日はどうぞお気をつけて、お越しくださいね。やる気満々で、お待ちしています!

 

IMSLPで今は自筆譜も簡単に手に入るようになりました。

それはそれで良いことたくさんあるけれど。

 

この楽譜、有田先生からのお祝いメッセージが中扉にあります。紙の楽譜ならではの贈り物ですね。

 

ヘンデルのリコーダーソナタ~リコーダーのスタンダードナンバーVol.3

6月22日(木)19時開演

鶴見区民文化センターサルビアホール音楽ホール

 

チケット好評発売中。詳細はコンサートページへ。

 

昼公演(14時30分開演)はおかげさまで完売間近です。お早めにお求めください。