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まちかど情報5回目~寒い冬にあったかうどん

 参加している音訳ボランティア団体のための原稿です。最終回です。

  寒い日が続きますね。今年は特に寒波のせいで寒さが厳しいようです。寒いときに嬉しいもの。それはあったかい食べ物ですね。皆さんはうどん、好きですか?うどんにもいろいろな食べ方がありますね。
インターネットリサーチのgooランキングによると、好きなうどんのメニューランキング1位はきつねうどん、二位はカレーうどん、三位はてんぷらうどん、だそうです。4位、鍋焼きうどん、五位、煮込みうどん。6位焼きうどん。7位 肉うどん、8位ざるうどん、9位 釜揚げうどん、そして10位は…天ざるうどん。皆さんのお好きなメニューはありましたか?
 おそばもいいですよね。そば派かうどん派か、と聞かれたら普段なら私はおそば、と答えるのですが、今年の冬は断然、うどん派です。それにはちょっと、わけがあります。
神戸市立森林植物園。紅葉が素晴らしい。
神戸市立森林植物園。紅葉が素晴らしい。

 

 私は仕事で関西に行くことがある、と以前のまちかど情報でお話しましたね。11月の終わりにも機会があり、4日間神戸に滞在しました。初日は仕事が長引き、ホテルに戻ったのは夜の9時を回ってました。そのころはコロナの第五波が落ち着き緊急事態宣言も解けて、コロナ禍が始まって以来一番普通の生活に戻りつつあるときでした。8月に神戸に来たときは蔓延防止策の最中で夜の21時にはお店はみんな閉まっていたのですが、この時は大丈夫。初めての神戸の夜だ~!やった!ということで、食事に出掛けることにしました。

 

 とはいえ、私は方向音痴.。それにまあだいぶ年季がいってるとはいえ女性の夜の一人歩きは不安です。あらかじめネットお店を検索してよく道順を調べて出かけることにしました。11月でも夜は冷えてきます。それに疲れてもいたので何か温かいものを、と思って近くのうどん、を検索したら、「あんかけ亭」というお店がヒットしました。評判が良かったしホテルから3分、ということだったので行ってみることにしました。

 

ホテルを出て、グーグルマップを見ながら一本裏の通りに入ったら、そこはまるで別の世界のような繁華街でした。若者たちが、街のあちこちに群れになって立っています。揃いもそろって黒い服を着た男の子たち、短いスカートと厚底の靴を履いた若い女の子たちもいっぱい立っています。通常の営業ができるようになったとはいえ、どう見てもお客さんよりお客さんを探している人の人数のほうが多そうです。後日、地元の仕事仲間に聞いた話によると、神戸三宮の街は駅を挟んで山側と海側では、全然雰囲気が違うそうです。山側の駅周辺の地域は、こちらで言うなら、新宿の歌舞伎町だそうです。海側の駅周辺はきれいになった最近の渋谷、もっと海に近くなると表参道並みのブランド街が広がるそうです。南京町、と呼ばれる横浜中華街のミニチュア版も渋谷にあたるエリアのそばにあって、どこもぐるっと歩いて回れるそうです。とても魅力的な街ですよね。

六甲山の中腹
六甲山の中腹

 

 でもそんなこととはつゆ知らず、私はグーグルの口コミだけを見て、いわば歌舞伎町の真ん中にあるうどん屋さんを目指してしまったわけです。ほとんど泣きそうな気もちで客引きの黒服たちをかき分け、目的地付近についてもお店は見つかりません。さらに泣きそうになって辺りを行ったり来たりしましたが、やはり見つかりません。

 

 意を決して、そばに立っていた二人組のミニスカート厚底靴の女の子たちに「スミマセン…」と尋ねてみました。彼女は「なんや、このオバハン。」とは言わず、「はい、どうされました?」と答えて、ささっと道案内をしてくれました。関西の女性に何か尋ねると、大体「どうされました?」と返してくれるのですが、これはとてもいいですね。すごく親切な感じがします。

 

 やっとのことで初めてのお店「あんかけ亭」の席に座り、「梅わかめあんかけうどん」を注文しました。大きなどんぶりにたっぷりのおつゆ。そのおつゆがトロリとして見えるうどんが運ばれてきました。あんかけうどん、というのも私は初めてでした。最初は五目そばのように普通のおつゆの上に何かあんでとじたものがかかっている料理だと思っていたのですが、「あんかけうどん」というのは正確には「かけ」ではなく「あんつゆうどん」。つまりおつゆ全体があんでした。これが本当においしかったです。おつゆ全体があん、というのは冷めないし、とろ味がうどんに絡むので薄味で良いのです。中身はもちろん、おつゆの最期の一滴まで私は飲み干してしまいました。不安に負けず、ここまで来てよかった~、としみじみ思いました。

釜たけうどんのちくたま
釜たけうどんのちくたま
 後日、思い出して似たようなものを作ってみました。まずめんつゆを昆布だしか水で伸ばし、わかめ、梅干1個、おろすか刻むかしたショウガ、うどんを入れて温めて、一人分なら大匙1杯の片栗粉を同量くらいの水で溶いたものを入れ、とろみがつくまで煮ます。最後に大葉や三つ葉など、薬味を散らして完成。ノリを載せてもいいですね。とろみはお好みですが、試しに濃いめに、もっちりとした感じに入れてみてください。ほんとうにあたたまっておいしいですよ。
 これも後日地元の仕事仲間に聞いた話ですが、関西ではあんかけうどんはポピュラーで、普通に家庭でも作るそうです。梅わかめじゃなくても、いつも作るうどんをちょっと薄味にして、1人前なら大匙1杯の片栗粉を大匙1杯の水で溶いて入れてみてください。卵を溶いて入れたり、しょうがを入れたりするとなおいいですね。少しカレーがあれば、カレーのあんかけうどんもおいしいです。本当に温まりますよ。
 
 他にも関西にはかすうどん、といううどんがあります。かす、というのは天かすではなく肉かすのこと。肉かす、というのは牛のホルモンを揚げて食用の油を搾った後の残りかすですが、それでだしを取ったおつゆは本当においしいのです。肉かすは高たんぱく、低脂肪。その上コラーゲンたっぷりで、最近人気急上昇の食材です。関東でもかすうどんのお店が出てきました。このあたりでは用賀にあります。また大阪の梅田食堂街で食べた「釜たけうどん」は太くてふわふわ、もっちり。コシばかり強くてゴムのような、最近のうどんと一線を画するおいしいうどんでした。こちらも東京駅八重洲北口に出店しているので関東で味わうことができます。
 皆さんにもご自慢のうどんがたくさんあるのではないでしょうか。何かの機会にぜひお聞かせくださいね。では温かいうどんで元気を出して、この冬を乗り越えてゆきましょう。
今月のまちかど情報、寒い冬にあったかうどん、でした。