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まちかど情報2回目~静嘉堂文庫美術館

 音訳ボランティア活動の原稿第二弾です。もしよかったら読んでみてください♪

 

皆さまこんにちは。コロナ対策のワクチン接種も進み、通常の生活に戻れるきざしが見えてきました。マスクなしで過ごせる日が待ち遠しいですね。皆さん、コロナ太りは大丈夫ですか?私も私の夫も最初の1年で今まで生きてきた中での体重最高記録を出してしまいました。このままではまずい!と一念発起してダイエットを始めました。ダイエットの方法は主食をおかゆに変えることとなるべくウォーキングをすること。始めて半年近く経ちますがおかげさまでじわじわと効果が表れ始めました。これからも引き続き頑張ろうと思っています。

 

そんなわけで613日の日曜日も朝から夫とウォーキングに出かけました。うちから2キロほど離れている砧公園まであちこち寄り道しながら行った帰り道、静嘉堂文庫の前を通りがかりました。ポスターが貼ってあるのを見ると、なんとその日は静嘉堂文庫美術館の最終展示の日でした。静嘉堂文庫とは旧三菱財閥の三菱第二代目社長である岩崎彌之助氏が創設し、4代目社長である岩崎小彌太氏が大きくしたものです。ちなみに、静嘉堂とは中国の古典からとった彌之助の堂号で、祖先の霊前へのお供物が美しく整う、という意味です。

 

岩崎彌之助氏、小彌太氏が集めた美術品や古い書物を保管しているのが静嘉堂文庫です。明治25年に神田駿河台で創立、44年に高輪、そして大正13年に現在の世田谷区岡本に移転し、昭和52年に所蔵する美術品などの一般公開を始め、平成4年には静嘉堂文庫美術館としてオープンしました。国宝7点、重要文化財84点を含む、約20万冊の古い書物と6500点の東洋古美術品を収蔵しています。この6月で閉館し、展示部分が東京丸の内の明治生命館内に移転、2022年にオープンします。

 

静嘉堂文庫美術館が丸の内に移転するのは知っていましたが、まさか最終日にその前を通りかかるとは。これは行くしかないでしょう!ということで、たくさん歩いてヘロヘロでしたが、中に入ることにしました。

 

 

 

 

最終展示のテーマは「旅立ちの美術 Departure in Arts」です。丸の内への移転を「旅立ち」ととらえて、世田谷では見納めになる静嘉堂所蔵の国宝7点のほか、数々の名品、それにまつわるエピソードを紹介しています。

旅たちの展示の中には14歳で亡くなった子供を極楽へと送り出すための絵図「地獄極楽めぐり図」や、岩崎小彌太氏の還暦のお祝いにたか子夫人が贈った「宝船ひき・輿行列」の御所人形などもあります。宝船には七福神の布袋さま、小彌太氏の姿がありました。還暦というのは一周回ってまたゼロからの出発、旅たちであるということです。宝船に乗った夫の御所人形をプレゼントするなんて、たか子夫人は小彌太氏のことを本当に大好きだったんだなあ、と夫がうらやましそうにつぶやいていました。

今回音声ガイドを借りて展示を見ました。展示されている昔の中国や日本の山水画にはやたら山や川、船、橋が多いなあと思っていたのですが、音声ガイドによるとそれは今でいうお別れの色紙のようなものだそうです。旅たちを見送る場面を描いて時にはそこに詩も書いて贈り物にしていたそうです。素敵な風習ですね。ちゃんと意味があったんですね。

 

この美術館の目玉、国宝のお茶碗、「曜変天目」も展示されていました。曜変天目は123世紀中国の南宋時代に作られた陶器です。外側は黒く、内側は濃い青に大小の玉虫色の星のような模様が広がり、宇宙のよう、と評されることもあります。最も高価なお茶碗に分類されるもので、もとは徳川将軍家が所蔵していました。三代将軍家光の乳母、春日局に下賜されて実家である稲葉家が所蔵していたため、「稲葉天目」と呼ばれることもあるそうです。

これを手に入れた岩崎小彌太氏は「天下の名器、私に用うべからず」といって生涯使うことはなかったそうです。このお茶碗は、中国から日本、徳川の将軍家から稲葉家、岩崎氏のコレクションに至るまでの旅をしてきた、ということで「名品の旅路」というコーナーに展示されていました。

 

 

他にもいろいろ、見どころが多く、充実した美術展でした。これらの所蔵品は東京・丸の内の明治生命館に2022年に移転します。そこで出会えるとはいえ、ここ世田谷では最後。我が家から歩いて15分ほどで来られるのに中に入るのは私たちは今回が初めて。そしてもうさよならなんて!もっと早く来ればよかったな~と後悔しています

 

 

 

この静嘉堂文庫、最寄り駅は東急田園都市線、大井町線の二子玉川駅です。バスも出ていますが、歩いても20分くらいの距離です。住宅地の中ですが、近くに岡本民家園の緑地などもある緑豊かな場所です。門を入るとさらに緑の中に坂道が続き、登りきると正面に洋館、左手に噴水、その奥が美術館になっています。30年間行ってきた美術館としての展示はこの日で終え、これからは美術品の保管管理、研究閲覧などの業務を行っていくそうです。建物はそのまま残り、庭園内の散策も無料で開放していくとのことです。

 

 

以上まちかど情報、今回は世田谷区岡本にある静嘉堂文庫美術館「旅たちの美術 Departure in Arts」をご紹介しました。